奇病

 漢字の奇にはいくつかの意味がある。”思いがけない”という用い方ではたとえば「奇襲」だ。”半端な”という意味では「奇数」があり、そして”めずらしい”を意図するときの言葉の一つに「奇病」がある。
 その奇病が一ヶ月前から米国で広がっているという。Morgellons病という病気だ。
 どう気妙か説明しよう。

“奇病” の続きを読む

透明人間

through

 当時流行っていた「透明人間」というTVドラマのせいで、幼いころアホな仲間と透明人間になったらなにをするか話しあったことがある。
 銭湯で女風呂を覗くとか銀行に行って金を取ってくるなど概ね犯罪的な意見がその場を支配したのだが、なぜだか納得できなかった。
 たとえば国立図書館の本を閉館の時間に関係なくゆっくり読むなどという意義ある行動がアホな連中にはどうしても発想できなかったのだろう。

“透明人間” の続きを読む

 耳を動かすことができる人がいる。芸に乏しいものとしては手に入れてもいい技だと思って練習してもなかなかうまくできない。
 どうしたら耳を動かすことができるのか、調べてみても分からない。
 それもそのはず、いままで解明されてなかったのだ。

“耳” の続きを読む

チューインガム

chew

 研修医のころ、上の人からチューインガムのような人物と評されたことがある。噛めば噛むほど味の出るヤツともとれるが、そのうち味気のなくなるやつだという意味にもとれる。真意を聞かずじまいになってしまったが、よほど誉めるところがなかったのは事実のようだ。
 そのせいかチューインガムは苦手だ。そもそも顎が疲れるし、いつ噛むのを止めるのか悩んでしまう。
 だが近い将来、医療関係者としてガムを噛むのを勧めることになるかもしれない。

“チューインガム” の続きを読む

ふたご

twins

 どうしようもない学生というのはどこにでもいる。数年前、看護学校で遺伝の話をしたときのことだ。誤魔化しながらなんとか話し終えてなにか質問がないかと学生たちに恐る恐る訊くと、一人の女子生徒が手を挙げた。
 子供を産むならぜひ双子が欲しいという。どうしたら双子ができるのかと訊いてきたのだ。

“ふたご” の続きを読む

虫眼鏡

 昨夜見た夢をメモしてみたい。ただし見たのはカミさんで寝起きに語ってくれたものだ。
 ときは戦時中を思わせる時代。そういう風景のなかでどういうわけか新幹線が脱線している。おじさんたち二人が懸命に元のレールに乗せようとしていたが土台無理な話だ。どうしようか思案しているところに現れたのがわたしだった。
 手を貸すと新幹線がレールに乗ったという。

“虫眼鏡” の続きを読む