土日に30名近くの近隣の医療者と旅行に行ってきた。いわゆる医師会旅行だ。向かうは鹿児島。九州新幹線の開通のおかげで福岡からの所要時間は1時間30分と少しで、ほとんど日帰り感覚の旅行だ。とはいえ午前の診療を終えてからの行程だから土曜日はほぼアルコールと黒豚を胃に注ぎ込む懇親会だけで終了した。
こうしたアルコールを嗜むことが許される泊まりの団体旅行では、通常個人的には初日から大量のアルコールで意識を失うことがほとんどで、翌日はなにを反省していいのかとまどうほどに、身を小さくして残りの旅程を遣り過ごすのが通例なのだが、どういうわけか今回は最後までなんとか正気を保つことができ、名実ともに己を知る年齢に達したのだなと心密かに喜んでいた。

“恥” の続きを読む

電子カルテ雑感2

電子カルテの真正性を担保するためハッシュ値というものを用いている。数字とアルファベットで構成される文字列で、いろんなデータが天文学的な確率で一意的に決められるものだ(と解釈している)。その日に触れたほとんどのデータ、すなわち閲覧だけのデータ、入力したデータ、修正したデータ、取り込んだ画像データなどなどをその日付のフォルダに入れ、それぞれにハッシュ値を付与する。そのハッシュ値さえ手が加えられていないことが証明されれば、データに手が加えられていないことになる。つまりカルテの改竄はないというわけだ。

“電子カルテ雑感2” の続きを読む

電子カルテ雑感

自作の電子カルテを稼働させ早3ヶ月になろうとするが、いくつか気づいた点がある。その一つがカルテのレイアウトだ。
カルテは左右の覧に分かれていて、左に病気の経過や自分の意見などを書き、右に行った行為を書くようにお上から定められている。たとえばとてもきつそうな患者がうちのクリニックに来たとしよう。すると左の覧に、”なぜこんなヤブのところに来るのだ”と書き、右の覧に”ほかの病院へ紹介状しました”という具合に書きわけるのだ。だが、右と左の情報量、つまりは文字数には多くの場合アンバランスが生じる。たとえばこんな具合だ。
“なぜこんなヤブのところに来たのだ。本当にきついなら最初からもっとまともな医療機関に行くべきと思う。いやその判断ができなほどきついのかもしれない。これはほんとに重病か。まずいぞ”という左覧の文章。そして”あわててほかの病院へ紹介状しました”の右覧の文章。この二つの文章には字数の違いがある。こうした記述が一回で終わればいいが、日にちを変えて記載するとき、左右覧の書き始める位置を一致させるとすれば、それは必然的に左右どちらか一方に多少に関わらず空白が生じることを意味する。

“電子カルテ雑感” の続きを読む